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Tanba_vein_tertiary_vein_from_the_East_Honyama 丹波國亀岡市近郊 東の本山より3本目鉱床について
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現 亀岡市馬路財産区から八木を経て大内財産区あたり。 旧 丹波國 現行政区で産出地を京都産という一括りで見がちだが、平安末期から800年超える粘板岩系天然砥石の歴史から鑑みると、単に京都産で同質同産地で認知するわけにはいきますまい。 かつ、物性・原石姿・鍛え施術法等々全く異質の鉱脈となり、共通呼称として用いることができるのは、大正期の論文における鳴滝石や地学分類における珪質粘板岩くらいである。 このため、丹波國産であまりに多くの鳴滝との呼称が用いられるが、これを楯に取られるとあながち偽とは言えぬところ。 しかしながら通念上、山城國 現 京都市右京区鳴滝で産したものと想定しがちであるからよく注意されたし。 主に近代から開発され140年まで程度の歴史。 本口から合石成まで様々。 原石は大きく厚くかつての砥石の素材となった放散虫死骸供給源の近いところではないかと思われる。故に軟質傾向なのもこのためか。 外郭である巣板以外は鍛え効きにくく、三鉱脈で最も練り物構造に近くなり、鍛えを挑むと無作為方向に割れだす。 結果四方目(いざり)つまり四面どこからでも使えるものが産し非常に大物でも歩留まり見込める。 このため、6面挽きの製品がよく見られ、不鍛えでも品位差の高下はないことが多い。 石鍛えせずに済む物性なのだから、均質で質の安定性にすこぶる長ける。 半面、指向性からもたらされる天然砥石独特の性能は薄くなり、代表例として偏光性があったり非常に冴えた発色、および硬度比に対する研削能力と耐摩滅性は減退。 硬質になるほど、指向性から見いだされる性能が実質的な使用に欲されるためやや難儀する傾向。 ここでの指向性とは、超緻密な層状構造・規則正しく一平面に割れる・よく行き届いた火力、水性変性などによる明るい冴えた発色と研削材の規則性のある配列等を指す。 軟質においては、本山のように指向性があって軟質だからこそもたらされるフレーク剥離が起こりにくく研ぎ手の掛ける面圧の大小の干渉を受けがたいため、無難に刃あたりを取りやすい。 フレーク剥離による軟鉄部位の引け傷を回避しやすいため、面圧調整に慣れない練度の研ぎ手には良い使用感を覚えるために良い入門機と思われる。 練度と共に面圧加減による肌理の差異や目的付けなどを解しはじめると、本山軟質に挑みたいと思い始めるが一筋縄には行かぬところが研道の奥行の一つでもあると言えよう。 難度的には硬質本山に要する練度を凌ぐほど。 丹波國産は山城國産として市場に良く出回るものの、裏まで挽いてしまって面がついているものは、確実に偽であり見破る指針とされたし。 側面色付き養生隠蔽、取り外せない台貼り付け済も同様のことである。 両面が使える山城國産の作り方は、中世より山本流鍛え技巧において絶対禁忌則なのである。 かつては、山城國からも多く丹波國ヘ採掘にでかけており、たとえ山本系以外の者で本山の地権者である者でも丹波國ヘ赴いたという。 加藤鉱山の職長級も山本系縁者が多く勤めあげ、本山専属技巧集団であったと考えられる。 |
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